偏見の心理学→ 偏見チェックの心理テスト

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非人扱いする人の脳を見る心理学者スーザン・フィスク

カテゴリー「偏見の研究 国際NEWS」

歓迎されざる者を見た脳、残虐行為に道を開くかも

偏見の心理学→ 2011/12 A brain's failure to appreciate others may permit human atrocities

 社会的な相互作用(人間関係)を営む上で大事な脳部位(共感能力)が作動停止すると、人間は他者に対して抵抗なく残虐な行為を遂行できるようになる。
 この機能は、いわゆる 嫌われ者 に遭遇した時にオフになるっぽい。
 そのせいで、普通なら作動する「これは感情や思考がある存在だ」というみなし(共感力)が、嫌われ者に対してはなくなってしまうのだ。

● 社会階層が下だとみなされるような、麻薬中毒者やホームレスをめぐる思考では共感脳が反応しなかった。
● 共感脳は動物や自動車に対してでも反応を示す(「もの欲しそうな犬だな」「どんくさい車だなぁ」)のに、ホームレスの物乞いには視線さえ合わさない。

プリンストン大学 心理学者スーザン・フィスク Susan Fiske
デューク大学 心理学・神経科学准教授ラサーナ・ハリス Lasana Harris

今回、119人の大学生を対象に調査を行った:
まず、4種類のキャラ設定を見せ、
 1,女子大生&アメリカ人男性の消防士 (プライド)。
 2,ビジネスウーマン&金持ちの男性 (嫉妬)。
 3,高齢男性&障害者の女性 (あわれみ)。
 4,女性のホームレス&麻薬中毒者の男性 (嫌気)。
彼らの日常生活を想像させたあと、以下の各項目について評価をさせてみた。
 温かみ、能力、類似性、親しさ、その現況がどのくらい本人の責任なのか、現況に対してどのくらい彼らは主導権を発揮しうるか、知性、感受性、自己認識、人生の安定度、そして、いわゆる人間らしさ・・・
 次に、設定キャラの絵を見た状態の脳をMRIでスキャン。
 あんのじょう、以前の調査でも確認されていたとおり、「社会的な相互作用にかかわるニューラル・ネットワーク」が、「麻薬常用者、ホームレス、移民、貧民」などに対しては反応を示さなかった。

ハリス曰く「これは、人間性抹殺が複雑な現象であることを示しています。この機序について、さらに正確に解明するためにさらなる研究が必要です。」

偏見の心理学→ Journal of Psychology
"Dehumanized Perception:A Psychological Means to Facilitate Atrocities, Torture, and Genocide?
人間性を失わせる知覚
DOI 10.1027/2151-2604/a000065

「先入観、暗示、思い込み」


git ホームレスや麻薬中毒者を「非人扱いする」脳反応については、研究が行われたのは今回が初めてなのではなく、かねてより同じスーザン・フィスクが調査を重ねている。
 今回はそれを踏まえた上での、フィスクと神経科学者との共同研究だったわけだ。
偏見の心理学→ 2009/02 【日本語記事】National Geographic
 『男性はビキニの女性を“対象”とみなす』
 プリンストン大学の心理学者スーザン・フィスク氏

● 男性はセクシーな女性の写真を「押す、つかむ、扱う(I push, I grasp, I handle)」といった一人称の動詞と結び付ける傾向がある

● 「性差別意識が激しい」と評価された男性はビキニ姿の女性の写真を目にしたとき、考えや意思を持つ人間としてとらえるような脳の活動が見られなかった。
 この男性たちは女性を 支配の対象、男社会への侵入者 とみなす傾向がある。

● 社会的認知にかかわる脳の領域が活性化しなかった例は、過去にもある。
 その研究では、ホームレスや麻薬中毒者など、不快感をもよおすような写真が被験者に見せられた。

 ヒトには、相手が人間であろうがなかろうが、「不快」な存在に対しては「共感」機能がオフになるような性向が仕込まれている。
 逆に、「好感」が持てる存在に対しては、それがヒトであろうが動植物であろうが、はては単なる岩やお日様であっても、それら対象に「気持ち」や「意図」を見て取ったりしてしまう。
 前者は虐殺や虐待、後者はアニミズムや信仰を、生み出したりする。

 それらは、本来は、正しい機能ではないし、間違った機能でもない。
 我々にできることは、「どのような機能であれ、今の状況で、特定の立場から見て”正しい”と目されるような作動を招く」ように、現状況を設計調整することでしかない。
 その調整をどのレベルから行うか。
 個人の日常レベルで行うか、大枠から見た社会設計から行うか。
 レベルを何層くらい踏まえた上で調整にたずさわれるか。

 さらなる調査は必要だし、調査を待たずして今ここでの日々の実行・実践も必要となる。

 「不快」な相手に対して、共感と思いやりを発揮できますか?
 「慈悲心」を日々惹起できていますか?

「先入観、暗示、思い込み」


■ スーザン・フィスク Susan Fiske

 著書もいろいろある、その方面では名の知れた心理学者さんです。

●本リンク削除Social Neuroscience: Toward Understanding the Underpinnings of the Social Mind (Oxford Series in Social Cognition and Social Neuroscience)
●本リンク削除Envy Up, Scorn Down: How Status Divides Us
●本リンク削除Handbook of Social Psychology, 5th Edition, Volume Two

科学なポッドキャスト「自分を見る目、他人を見る心」
 スーザン・フィスク:Susan Fiske
【podcast 音声】【英語】Seeing ourselves as others see us
MP3ファイル 30分
2006/04 All in the Mind  ABC@Australia
 自分が他者をどう認識するか
 他人が自分をどうみなしているか
 「彼ら」と「あの人」とで異なる認識が生じる機序:偏見と性差別

 この音声ファイルは内容をテキストで読むことができます。
 ネット All In The Mind
 「読みながら聞く」ことができて、英語のヒアリング練習に持ってこいです。


人間は誰しも極悪非道な所業をしでかしてしまいうる
 拷問行為の心理学
2004/11 EurekAlert Could Abu Ghraib happen again?
2004/11 New Scientist Everyone is a potential torturer
 スーザン・フィスク、アブグレイブ刑務所の事件について語る

「先入観、暗示、思い込み」
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「ヤツらは怖い」ヨソ者に対する恐怖は強くなりがち

カテゴリー「偏見の研究 国際NEWS」

自分と同じ人種に対する恐怖より、異人種に対する恐怖のほうが、強く残りがち

偏見の心理学→ 2005/07 EurekAlert NYU, Harvard study shows fear learning is influenced by race

「ヘビが怖い」「クモが怖い」なみに、異人種に対する恐怖は強く残りやすい

偏見の心理学→ 2005/07 MSNBC Race fears linger like dread of snakes
偏見の心理学→ 2005/08 News-Medical.Net   Human beings show greater persistence of learned fear toward members of another race than those of their own race
偏見の心理学→ 2005/08 The Baltimore Sun Nature of racial fears probed

 でも、このようなネガティブ反応は、人づきあいの工夫で解消できるよ
 異人種の人とデートした経験が豊富なら、この手の恐怖の引きずりはそんなに起こらないんだ


「先入観、暗示、思い込み」


suji ヒトという生物には、出会ったときの第一印象が悪いと、異様に強い嫌悪感や恐怖が残りやすいタイプの対象がある。
 特に有名なのは、ヘビとかクモとか。
 しょっぱなで「怖い」思いをすると、延々「私、ヘビだけはダメなんです!」「クモだけはかんべんしてください」と言い続ける人生を送るハメになりかねない。

 この「ヘビが怖い」「クモが怖い」現象は、ヒトだけでなく、人間以外の霊長類でも起こりやすいことが確認されている。

 進化心理学的には、これらの性向は、

古来の環境では、毒ヘビや毒グモにやられてしまうと致命的。
毒ヘビや毒グモに対して敏感に恐怖反応を示すようになっている個体のほうが、生き残りやすかった。


そんな感じに解釈説明されている。

 ヒトにおいて、異人種に対する恐怖反応が、やけに強く残りがちなのも、

ヨソモノ(異人種/外集団)に対して敏感に恐怖反応を示すようになっている個体のほうが、生き残りやすかった

つまり、古来の環境においては、異人種/外集団の人間は、毒ヘビや毒グモなみに「遭遇すると命を落とすハメになる」存在であったと・・・「敵だ!襲われる!」。そういう進化心理学的な解釈で理解されている。

「先入観、暗示、思い込み」
「先入観、暗示、思い込み」
「先入観、暗示、思い込み」


 ただし、実際にヨソの人とお付き合いしてみた経験があるなら、ヨソモノ(異人種/外集団)に対するネガティブ感情反応はひどいことにはならない。「大丈夫な人たちである」と認識&経験することができていれば、排除感情は引き起こされない。
 このへん、ヒト心理はわりと合理的にできているよね。安心していい相手であれば、無用な恐怖反応は惹起されない。

 差別感情は、実際にお付き合いしてみたことがないカテゴリーに対して、発生しやすい。
 差別は、特定のカテゴリーに対してネガティブな感情がわいた時に、行使されやすい。

 ・・・世の中、人づきあいベタな人間が増えると、差別的な言説が増えてしまうかもしれない?

 世の中の改善には、まず現場の経験は多いほうがいいですよね、なんにつけ。

「先入観、暗示、思い込み」

穢れ偏見に効くワクチンはいかが?

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社会的偏見に対するワクチンの接種

偏見の心理学→ 2011/12 A vaccination against social prejudice

「ばっちいでしょ!」
病気に罹りそうな不安を感じると、穢れっぽい人々に対しての偏見や忌避感が概して強くなる。

●インフルエンザの怖さについて注意喚起すると、ワクチンを接種していない人は、ワクチン済みの人より強く、移民に対する反感を示した。

●「あなたが受けたワクチンの予防効果は高いですよ」と聞かされた人は、病気がらみの偏見をあまり示さなくなる。

●バイキンに抵抗がある人でも、自分の手やキーボードを洗浄したなら、病気がらみの忌避感をあまり示さなくなる。

進化心理学に解釈すれば、この手の偏見は、サバイバル/生存率に由来する。
病気をもたらすかもしれない部外者を避ける、そんな傾向を持つ個体が、結果的に生き残りやすかった。

しかし、そんな根強い性向を解消する、現代的なうまい方法があるかもしれない。

外集団(異国人や麻薬中毒者や肥満者…)に対する偏見バイアスは、保健衛生の一手間で祓えます。
病気に罹りそうな不安、そして病気をもたらしそうな他人に対する忌避感:これらは、ワクチンの接種や手指の消毒などによって安心感を惹起させれば、解消できるんですよ。


「先入観、暗示、思い込み」


komatta 病気っぽいものに忌避感が湧いてきてしまう、これはロボティクス方面で言われる「不気味の谷」にも通じる現象。
 「生理的」に「気持ち悪い」、そのような傾向が先天的に備わっているのだと沙汰される一方で、かような「忌避感」は心理的に解消しうるのだ、という指摘もなされてきているわけです。

 「清潔感」というものは不思議なもので、他者に対する感覚のみならず、自分自身の心自体をも、変化させてくれたりします。
●清さは清き人を生む
2009/10 EurekAlert Cleanliness is next to godliness: New research shows clean smells promote moral behavior
 石けんの香り、シャンプーの香り
 「清潔なにおい」によって、道徳的な行動が惹起されますね

そう、そして手を洗うと心がさっぱりきれいになる。
2010/05 【日本語記事】Science 難しい選択をしたあとは、石鹸で心を静めよう
To Quiet the Mind After a Tough Choice, Use Soap
難しい選択を行ったあとに手を洗うと、自分の決定を受け入れやすくなる
 認知的不協和が、手洗いによって緩和する
「手洗いによって過去の非倫理的な行為の痕跡が洗い清められるように、過去の決定の痕跡も洗い清められるため、自らの決定を正当化する必要性が減る」
2010/05 Science Washing Away Postdecisional Dissonance
手洗いは意思決定後の認知的な葛藤を解消する
2010/05 【日本語ブログ】「手洗いに過去を払しょく効果」新たな恋愛に向かおう
2010/05 【日本語記事】National Geographic 手を洗えば後悔も洗い流せる?
2010/05 EurekAlert Wash away your doubts when you wash your hands
2010/05 ABC@オーストラリア Washing hands makes tough choices easier


「先入観、暗示、思い込み」
「先入観、暗示、思い込み」
「先入観、暗示、思い込み」


2008/12 EurekAlert Cleanliness can compromise moral judgment
清潔さは、道徳の判断に累を及ぼすことができる
 肉体的な清潔さの概念は、道徳判断の厳しさをかなり減らす
 直観は、善悪の判断に影響をお与えうる。


 他者に清さを求める前に、自らが清くあれ。
 自らを清めることによって、他者に寛容であれ。

 なんかそんな格言っぽいことを言ってみたくなる調査結果なのでした。

「先入観、暗示、思い込み」

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